車輪樹法

車輪樹法は進化系統情報を直感的
かつ情報豊かに,さらに最も偏り
なく表現するための手法です.

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岩崎 渉
東京大学
大学院理学系研究科
生物科学専攻
メール:
iwasaki AT bs.s.u-tokyo.ac.jp

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車輪樹法ソフトウェア:
GNU General Public License
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Creative Commons License

系統樹の持つ問題点

例として,ヒト・イヌ・マウス・オポッサム(外群)の4つの系統について可能な3つの系統関係が,いま下の図にある確率でそれぞれ推定されたとします.

このデータについて,現在一般に用いられている表現手法は「最善樹」(この場合,系統樹A)を使うものです.
あなたも,このような図を作成したことがあるかもしれません.

この手法の欠点は,最善樹に偏った情報を伝えてしまうという点です.
例えば,系統樹Bは系統樹Aと同程度に支持されていますが,この手法ではそういった情報を全く伝えることができず,系統樹Aのみに偏った情報を伝えています.

こういったミスリーディングな印象を与える可能性を避けるため,昔から推奨されてきた手法が「コンセンサス系統樹」です.
コンセンサス系統樹では,ある閾値よりも弱く支持された枝は全て無視し,多分岐とします.

しかしながら実際のところ,コンセンサス系統樹は必ずしもあまり用いられていません.
その大きな理由は,この系統樹が系統樹群に関する情報を過度に捨ててしまう点にあります.

情報の損失は仮説の見逃しにつながる

例えば,今イヌとマウスにのみ存在する遺伝子があったとします.
このとき,系統樹Aおよび系統樹Bからは,「この遺伝子は哺乳類の共通祖先で一度獲得され,ヒトの系統で失われた」という仮説が,
系統樹Cからは,「この遺伝子はイヌとマウスの共通祖先で一度獲得された」という仮説がそれぞれ導かれます.

系統樹Aと系統樹Bは合計で見れば十分に支持されているので,系統樹群全体を見れば前者の仮説を採択することが可能です.
しかし,最善樹からもコンセンサス系統樹からもこの仮説を導くことはできません.

車輪樹法のポイント

車輪樹法のキーアイデアは,コンセンサス系統樹をベースとし,さらにその「枝の並び順」に意味を持たせることで,最善樹の偏った印象を避けつつ,しかし豊かな情報を伝えるというものです

伝統的に進化系統解析においては,ノード同士の繋がりのみに意味があり枝の並び順には意味はないものとされてきました.
例えば,下の3つのコンセンサス系統樹は教科書的には同じものとして扱われます.

しかし,人間はこれら3つの表現から異なった直感を読み取ることができます.
例えば,一番左のコンセンサス系統樹において,ヒトは,オポッサムに比べてマウスやイヌに「近い」位置にあります.
これによって,ヒトはマウスやイヌの隣に現れることが多かった,という最初の系統樹群データをうまく表現することができます

車輪樹法では,これらの枝の並び順に意味を持たせた多分枝ノードを「車輪(wheel node)」と呼び,さらに以下のように系統樹群についての統計値を加えて表示します.

進化系統推定をした際には,信頼度の高くない枝を表示することはやめ,ぜひ車輪樹としてその進化系統情報を表現されることをおすすめします.
車輪樹を用いることで,曖昧な進化系統樹群に隠れた情報を直感的かつ情報豊かに,さらに偏りなく表現することができます.

車輪樹の例を見ることで,より深く車輪樹を理解することができます.

(なお,もしあなたが専門家で"系統ネットワーク法"との比較に興味がある場合は文献をご参照ください).